こんばんは。前回に引き続き北アイルランドの西ベルファストについて。今回は西ベルファストのカトリック地区とプロテスタント地区を遮断する、通行門とピースラインについて書かせて頂きます。

テロ防止と両地区の遮断のために設けられた通行門とピースライン

3000人を超える犠牲者を出した北アイルランド紛争。紛争当時、カトリックとプロテスタントの双方による無差別テロと暴力の応酬を予防し、両地区を完全に遮断して相互の侵入を防ぐために設けられたのが、非武装地帯と、武装警備兵が監視する通行門、そしてピースラインと呼ばれる分離壁でした。

そして通行門と分離壁の周囲は、無数の武装警官や兵士が取り囲み、多数の警察車両や装甲車、時には戦車が頻繁に往来を繰り返していたと言います。

紛争が終結した現在、武装警官も兵士も、警察車両も装甲車もいなくなりましたが、両地区を遮断する通行門とピースラインは今でも残されたままです。

フォールズ通りとシャンキル通りを隔てる通行門

今回訪れた、カトリック地区のフォールズ通りと、プロテスタント地区のシャンキル通りを隔てる通行門は以下のような景観です。
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日中は通行可能な、カトリック地区とプロテスタント地区を結ぶ数少ない通りです。手前がプロテスタント地区のシャンキル通り、奥がカトリック地区のフォールズ通りになります。

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手前と奥の2か所に門が設けられ、施錠可能になっています。紛争中はここに検問所があり、門と門の間が非武装地帯というか中立地帯になっていました。今はもう検問所もなく、兵士も武装警官もいなくなりましたが。

かつての非武装地帯に掲げられた平和のための壁画と十字架

門と門の間にあるかつての非武装地帯では、北アイルランドの21世紀の平和を願う、中立的な壁画が掲げられています。
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西ベルファストで見た壁画の中では、多分これが一番中立的でまともだと思います。両地区で見た壁画の中に中立的な内容のものは、ほぼ皆無だったような気がします。

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中立地帯内の反対側の歩道には、紛争による全ての犠牲者を悼むための十字架が置かれています。

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十字架には平和への祈願を込めたメッセージが掲げられています。カトリック、プロテスタントといった、犠牲者を仲間と敵に区別せず、紛争の全ての犠牲者を悼んで平和を祈願しているのは、西ベルファストでここだけかもしれません。

ベルリンの壁を彷彿とさせる分離壁であるピースライン

非武装地帯と同じく、フォールズ通りとシャンキル通りを隔てるように、ピースラインが建てられています。

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ピースラインと言えば聞こえだけはいいですが、要はベルリンやパレスチナの壁と同じ、ただの分離壁です。壁の高さは大体7~8mですが、上部に設置されたフェンスを含めれば10mを超えます。

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全長で何キロになるのかは知りませんが、紛争当時に暴力の応酬や相互侵入を防ぐ名目で、西ベルファスト中のカトリック地区とプロテスタント地区の間に、飛び地のようにして建設されました。

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私のいるこの通りはプロテスタント地区側なので、掲げられた壁画もプロテスタント寄りのものばかりです。

ベルリンの壁は東西冷戦と東ドイツの崩壊で完全に役割を終え、今では飽くまで記念品として一部が残されているだけなのですが、西ベルファストのこの分離壁は不幸なことに今なおその役割を果たし続けています。

夜7時以降は今なお完全に遮断されて通行止めになる通行門

フォールズ通りとシャンキル通りの見学を終えて夜になった後、シャンキル通りからフォールズ通りのバス停まで戻ろうとしたのですが、通行所が施錠されて通り抜けできなくなりました。
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付近の別の通りの通行所も、やはり施錠されて通り抜けできなくなっています。日中は開いていますが、どうやら夜7時を過ぎると施錠されて通れなくなるようです。

夜間に向こう側の地区に行くには、車でも延々迂回しなければなりません。何とも不便極まりないことですが、この通行門の施錠こそが今なお続く両地区の分断と亀裂を物語っています。

平和になっても役割を終えていない通行門とピースライン

無数の尊い人命の犠牲の上に平和を迎えた西ベルファストのカトリック地区とプロテスタント地区。しかし平和になった今もなお、通行門と分離壁であるピースラインは役割を果たしたまま、両地区の分断と亀裂を継続させており、東西冷戦終結で壁を完全に撤去したドイツとは極めて対照的です。

紛争の芽を完全に取り除くために必要な両者の交流の促進は、これでは到底育つとは思えません。日韓関係のように、狭いコミュニティの中で互いに偏狭的な民族主義に凝り固まりつつも、戦争だけはないという状態は果たして真の平和と言えるのか、和解とか共存とは一体何なのか、考えれば考えるほど、正直よく分からなくなってくるのがこの西ベルファストという街でした。

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カテゴリ:北アイルランド > ベルファスト
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北アイルランド紛争に関する歴史考察
さらに、北アイルランド紛争に関する映画については、以下の記事をご参照ください。
カテゴリ:世界の映画 > 南北アイルランド

アクセス

メトロバスNo.82, 106a, 106b, 532でフォールズ通りにあるバス停Twin SpiresもしくはClonardから通行門までは徒歩3~4分。通行門からピースラインまでは徒歩5~6分程度です。

ベルファスト国際空港から市内には、エアポート・エクスプレスバスNo.300でヨーロッパ・バス・センターまで約35分。

ダブリンからベルファストには鉄道でコノリー駅から約2時間10分、エアコーチバスがオコンネル・ストリートから約2時間20分、バス・エーランがオコンネル・ストリートから約2時間25分になります。ダブリン国際空港からも両社のベルファスト行きのバスは出ています。バスの本数は1時間に1本程度あります。

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周辺地図(ピースライン)

(参考に)北アイルランド(イギリス)の各種情報

■航空券
日本からの直行便はありません。東京(羽田or成田)からだとロンドン経由の便が主力で、乗継地までは約12時間、そこからベルファストまで2時間程度の移動となるため、乗継の待ち時間を含めて20時間程度かかります。

ドバイ経由の便もありますが、ドバイを経由した後にイギリスのマンチェスターなどを再度経由することになるため、2回の乗継の待ち時間も含めて30時間程度かかります。

航空会社はブリティッシュ・エアウェイズが主力で、ドバイを経由する場合はエミレーツ航空とイギリスのローカル航空会社の共同便になります。航空運賃は12万円~17万円が目安ですが、GW休暇や盆休みなどの連休や、航空会社の時間帯によって航空運賃が20万円近くまで跳ね上がることもあるのでご注意ください。

ドバイやドーハなどを経由して、ダブリンへの往復便を利用し、ダブリンからベルファストへは電車での往復をするようにすれば、トータルの料金を10万円以下に抑えることも可能です。

詳しくは、HISやエクスペディアで航空券の検索を。
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■ビザ
6か月以内の滞在であればビザは不要。ただし空路で入国した場合には、入国時に往復航空券を提示することが必要となります。ダブリンからバスや鉄道で北アイルランド入りした場合は、税関や入国審査は特にありません。6か月以上の滞在や留学などはビザが必要であるため、駐日英国大使館などでご確認を。

■言語
英語

■通貨
通貨単位はアイルランドポンド(IEP)。1€が約165円程度に相当。ダブリンからバスや鉄道で北アイルランドされる場合、アイルランドで使用されていたユーロは使えなくなるのでご注意ください。空港や鉄道駅、銀行などの両替で、ユーロをアイルランドポンドに両替するようにしてください。

■時差
日本よりマイナス9時間(サマータイム実施中は日本よりマイナス8時間になります)。

■宿泊施設
安価なホテルやゲストハウス、ドミトリーなどであれば3000~4000円/泊程度でも泊まれますが、そこそこ設備の良いホテルだと7000円/泊以上かかります。

ホテルの条件(Wi-Fi、冷蔵庫、エアコン、目的地へのアクセス等)をよくご確認ください。特に、北アイルランドでは夏でも肌寒く、最高気温でも15~16度にしかならないので、暖房の有無をご確認ください。夏季や冬季の長期休暇が近づくほど宿泊費が高くなるため、早めに予約するようにしてください。詳しくはエクスペディアやBooking.com、トリップアドバイザー等で検索を。
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