こんにちは。今回はアメリカのロナルド・レーガン大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長による東西冷戦終結の平和会談の舞台となった、アイスランドの首都レイキャビクにあるホフジハウスと、その近辺に関する記事を書かせて頂きます。
目次
フランス領事館として建設されたホフジハウス
ホフジハウスは元々はフランス領事館として、1909年に当時のフランス領事だったジャン・ポール・ブリュージュン(Jean Paul Brillouin)によって建てられました。
建物の外観は以下のような感じです。
とても質素な外観の一軒家で、中流階層の市民が住んでいそうな雰囲気ですが、現在は誰も住んでおらず、館内への立ち入りも認められていません。
ホフジハウスの建物のすぐ傍には、フランス領事館として建てられてから現在に至るまでの歴史に関する説明書きがあります。
建設された当時の写真も掲載されています。
当初はフランス領事館として建てられたホフジハウスですが、若い女性の幽霊が出るという噂から(女性の正体は不明ですが、死因は自殺とも溺死とも言われています)レイキャビク市に売却され、やがてはアイスランドを代表する著名人たちが居住することになります。
ホフジハウスの居住者①―エイナル・ベネディクトソン
(Einar Benediktsson)
エイナル・ベネディクトソン(Einar Benediktsson)氏はアイスランドを代表する世界的な詩人であり、同時に弁護士かつ日刊新聞の編集者として、アイスランドの独立運動や水力発電所の建設にも尽力した人物です。
彼の存命期間は1864年~1940年ですが、そのうちの1914年~1917年にかけて、彼はこのホフジハウスに居住していました。
建物のすぐ横には、ベネディクトソン氏の銅像が立っています。
銅像のすぐ傍には、ベネディクトソン氏の経歴に関する説明書きもあります。
ホフジハウスの居住者②―ルイザ・マティアスドティール
(Louisa Matthiasdottir)
ルイザ・マティアスドティール(Louisa Matthiasdottir)女史はアイスランドを代表する女性画家であり、幼少時代に才能を開花させて以降、祖国アイスランドのみならずデンマーク、フランス、アメリカなどでも自身の絵画展を開催するなど、世界的に活躍しました。
彼女の存命期間は1917年~2000年、最期はニューヨークで亡くなりました。そのうち彼女がまだ子供だった1924年~1937年にかけて、マティアスドティール一家がこのホフジハウスに居住していました。
銅像はありませんが、建物のすぐ傍にはやはり、マティアスドティール女史に関する説明書きもあります。
レーガン米大統領とゴルバチョフソ連書記長の平和会談場所
こうしたアイスランドを代表する著名人たちが居住したホフジハウスですが、やはり最もよく知られているのは、1986年10月にレーガン大統領とゴルバチョフ書記長が平和会談を行った、東西冷戦終結の舞台としての歴史的役割故です。
建物のすぐ傍にはやはり、平和会談当時の写真と説明書きがあります。
説明書きの傍には、アイスランド語、ロシア語、英語で書かれた3つの記念碑もあります。
平和と経済再生の象徴である高層建築群が立ち並ぶ海岸通り
このホフジハウスはレイキャビク市の海岸通り沿いに建てられています。平和会談の舞台となり、著名人が過去に居住したホフジハウスの近辺であるせいか、海岸通りには高層建築群がかなり目立ちます。
交響楽団の本拠地であるハルパもまた、レイキャビク市を代表する巨大建築の1つです。
もしも現地で交響楽団の合奏を聴かれる等、ハルパに行かれる際には、以下のマップをご確認ください。
ハルパも含めたいずれの高層建築も、小さな首都故に、一軒家型の建物が大半を占める市内中心部とは非常に対照的です。平和の象徴であると同時に2008年にリーマンショックに端を発する金融危機や暴動を経験したアイスランドの、観光による経済再生を象徴する建物群とも言えるのかもしれません。
世界を変えた歴史記念碑的シンボルとしての観光名所
ホフジハウスの平和会談により、東西冷戦は公式に終結し、ソ連や東欧諸国の共産主義独裁体制は立て続けに崩壊し、世界は根本的に大きく変わりました。ベトナム戦争や、ポルポト派によるカンボジアでの大虐殺、中国の大躍進運動や文化大革命、東欧諸国へのソ連の軍事介入を始め、多大な犠牲をもたらした冷戦と独裁体制は、この会談を機に完全な終焉に向かったと言えます。
世界的な著名人が住んでいただけでなく、世界的な和平のシンボルでもある歴史的・記念碑的な観光名所を訪れることはとても深い感慨を覚えますので、アイスランドに行かれた際には、是非一度は訪れてみてください。
ホフジハウスの各種情報
入場料
無料
開園時間
外観だけであれば24時間見学可。館内の見学は不可。
アクセス
市内バスのフレンムルのバスターミナルから徒歩10分程度。
レイキャビクでの市内バスの乗り方
市内バスの乗車券の購入場所は少なく、ケフラヴィーク国際空港の他、10-11というスーパーマーケットでも購入できます。1回だけの乗車券はkr440、1日券はkr1500、3日券はkr3100になりますので、滞在中の乗り降りの頻度に合わせてご活用ください。なお、運転手から現金で乗車券を購入することもできますが、お釣りが出ませんのでご注意。
10-11スーパーマーケット。緑色の看板が目印。
レイキャビク市内のバス。どの路線のバスも一様に黄色い車体です。
市内バスの路線図は、上述のケフラヴィーク国際空港や10-11スーパーマーケット、あるいは滞在中のホテルでも入手可能なので、目的地の最寄りのバス停をご確認の上、該当する路線バスをご活用ください。
市内中心部にあるライキャルトルグと、ケフラヴィーク国際空港と市内を結ぶフライ・バスの発着するBSIバスターミナルに行くには、主に1番、3番、6番の市内バスを使います。バスの本数はどの路線も1時間に4本程度です。
周辺地図
(参考に)アイスランドの各種情報
航空券
日本からの直行便はありません。東京(羽田or成田)からだとパリ、コペンハーゲン、ヘルシンキ、アムステルダム等の経由便があり、乗継地までは約12時間、そこからレイキャビクまで3~4時間程度の移動となるため、乗継の待ち時間を含めて約20時間かかります。
航空会社はエアフランス、スカンジナビア航空、フィンランド航空、KLMなど。
航空運賃は28万円~35万円が目安ですが、GW休暇や盆休みなどの連休や、航空会社の時間帯によって航空運賃が40万円近くまで跳ね上がることもあるのでご注意。
詳しくは、HISやスカイチケット、エクスペディアなどで航空券の検索を。
海外旅行はエイチ・アイ・エス
ビザ
3か月以内の滞在であればビザは不要。ただしパスポートの有効期限が、アイスランドを含むシェンゲン協定加盟国出国時に3か月以上残っていることが必要となります。それ以上の滞在や留学などはビザが必要であるため、駐日アイスランド大使館などでご確認を。
言語
公用語はアイスランド語ですが、英語の通用度は非常に高く、市内バスやタクシーでも普通に英語が通じます。交通標識や案内掲示板などにもアイスランド語と英語が必ず併記されているため、英語が話せれば不自由に感じることはありません。
通貨
通貨単位はクローナ(単数)とクローヌル(複数)。現地表記はkr。kr1が約1円程度に相当。
時差
日本よりマイナス9時間。
宿泊施設
安価なホテルであっても最低15000円/泊はかかり、そこそこ設備の良いホテルだと20000円/泊以上かかります。ホテルに限らず、1食最低5000円以上かかる食費や交通費など、アイスランドでは全般的に物価が高いです。
10000円/泊未満で泊まれるホテルもありますが、寒いのに暖房が使えなかったり、市内中心部に行くのに市内バスで20分以上かかってアクセスが不便だったりといった難点があるので、あまりお勧めはしません。
ホテルの条件(Wi-Fi、冷蔵庫、エアコン、目的地へのアクセス等)をよくご確認ください。夏季や冬季の長期休暇が近づくほど宿泊費が高くなるため、早めに予約するようにしてください。詳しくはエクスペディアやBooking.com、トリップアドバイザー等で検索を。
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