こんばんは。今回の記事は台湾南部の烏山頭にある、東洋最大規模のダムについて書かせて頂きます。

なぜ嘉南大圳と烏山頭ダムが必要とされたのか

日本の統治下で台湾第二の経済都市・港湾都市として高雄市が発展し始めた1910年代以降、電力不足の解消、農村と大都市の貧富の格差の改善、さらには農業事情そのものの改善が植民地経営を行う日本の抱える新たな問題となりました。

当時の電力不足は、日月潭に水力発電所を築くことで大幅に改善されました。そしてもう1つの台湾南部の農業は、嘉南大圳という灌漑設備によって大幅に改善され、その中心的役割を占めるのが烏山頭ダムになります。

世界的に珍しいセミ・ハイドロリックフィル工法

ダムというと、黒部ダムに代表されるコンクリートダムのイメージが強いかと思います。烏山頭ダムの特徴は、セミ・ハイドロリックフィルという工法が用いられ、ダムにコンクリートが殆ど使われておらず、天然の石、砂利、粘土を堆積させて築いていることです。

厳密には基礎地盤の中央に「中心コンクリートコア」と呼ばれる、平均高さ約3m、底部幅約1.5m、頂部幅約1m、根入れ約深さ4.5m~28mの鉄筋コンクリート壁があるのですが、セメントの使用量はダム全体の0.5%という少なさで、土堰堤を外から眺めても天然の湖と同じにしか見えず、コンクリートは一片も見えません。

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烏山頭ダムのダム湖の光景。天然の湖と変わらない光景ですが、違います。人工的に造られたダム湖です。

なぜ烏山頭ダムはセミ・ハイドロリックフィル工法なのか?

烏山頭ダムをコンクリートダムにせずに土堰堤にした理由は、台湾が日本以上の地震多発国であるために大量のコンクリートを打てるだけの強固な基礎地盤がなかったため、逆に土堰堤を築くための数種類の大きさの土砂や粘土が烏山頭から南へ20㎞ほど離れた曽文渓という川の大内庄という地域に豊富にあったためです。

東洋最大の規模を誇る烏山頭ダム

この土堰堤は全長が約1350m、底部幅約300m、頂部幅約9m、高さ約56m、貯水量は1億6千万トンという巨大なもので、東洋最大の規模を誇ります。

烏山頭ダムの規模は間違いなく東洋最大ですが、有効貯水量を常に満たし、かつ嘉南平原全土に灌漑用水を供給するには、烏山頭ダムを築いた川である官田渓の集水面積だけでは到底水量が足りず、年間総流量が12億トンになる曽文渓から烏山頭嶺という山を貫通するトンネルを約3800m掘り上げなくてはなりませんでした。そのトンネルから取水され、貯水されたダム湖の水が、嘉南大圳によって網の目のように張り巡らされた給水路により、完工後は嘉南平原を潤すことになります。

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烏山頭嶺を貫通するトンネルを介した曽文渓から烏山頭ダムへの取水設備。

烏山頭ダムだけではない嘉南大圳の建設工事

嘉南大圳の工事は大きく分けて、
  ①烏山頭ダム
  ②曽文渓から烏山頭嶺を貫通するトンネル
  ③濁水渓ダム
  ④給排水路
の4つに分けられます。

もちろん工事で建設するのは本体設備だけではありません。例えば給排水路には、文水門、放水門、余水吐、歩道橋や車道橋といった付属設備の建設が必要になります。また③の濁水渓は大量の泥を含む河であるため、給水管を3本設けてそれぞれに浚渫設備が必要になりましたが、嘉南大圳の完成にはそうした気の遠くなる数々の工事が必要でした。

地球の半周分の距離を持つ嘉南大圳の給排水路

給排水路だけでも、総距離が約1万6000km、台湾本島の13周分、万里の長城の2倍、地球の半周分とされています。それだけの距離の給排水管が、台湾の狭い国土に、網の目のように張り巡らされていることになりますが、工事がとてつもなく大変だったであろうことは容易に想像がつきます。

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烏山頭ダムのすぐ傍にある嘉南大圳の給排水路。

嘉南大圳の建設工事を主導した八田與一技師

東洋最大規模を誇る烏山頭ダムを始めとする嘉南大圳は、1920年から着工され、1930年に完工しました。その間、工事に関わる人間の数は日本人と台湾人を合わせて2000人余りとなりましたが、その全ての工事を主導したのが、台湾総督府の日本人土木技師である、八田與一でした。

ダム湖の名は珊瑚潭

八田與一技師の上司であり良き理解者である、台湾総督府の下村海南民生長官によって、この湖は珊瑚潭と名付けられました。地図上で見ると珊瑚礁のような形をしているからだそうです。本当にそんな形をしているのかどうか、ヘリコプターに乗って遥か上空から眺めてみたいですが、さすがにそれは一般の旅行者には無理でしょうね。

八田與一記念公園で失われた古き良き時代の実感を

この珊瑚潭と烏山頭ダムは、観光向けに整備された八田與一記念公園の敷地内にあります。何かと暗いイメージで捉えられがちな日本の植民地時代にも、日本人と台湾人が同じ夢と目標に向かって奮闘した、幸せな出来事が確かにあったことを、記念公園を訪れることで実感し、失われた古き良き時代に想いを馳せてみてください。

入場料

八田與一記念公園への入場料は200元。烏山頭ダムの見学は記念公園への入場料を払えば可能。撮影可。

開園時間

記念公園の開園は火曜~日曜の9時~17時半。月曜は休園。ただし烏山頭ダムは年中無休で稼働。

アクセス

記念公園には台湾鉄道「善化」駅より「烏山頭水庫」行きの橘4路バスが7時50分、10時10分、12時40分、16時半、19時半発。所要約30分。バス代片道49元。あるいは台湾鉄道「隆田」駅よりタクシーで約15分。タクシー代の目安は片道300元程度。

時間がなければベルトラ等の現地発のツアーで

私は記念公園内を徒歩で回りましたが、公園内は広大で移動に時間がかかり、結果的に記念館内部や八田家の住居内部を見学できずに終わるなど、非常に残念な思いをしました。限られた時間の中で記念公園内を効率良く見学されたい場合には、現地発のツアーがお勧めです。特に、ベルトラで予め日本で現地発ツアーに申し込んでおけば、嘉義市内にあるKANOこと嘉義農園高校野球チーム関連の見所とセットになった1日ツアーにて複数の見所を効率良く見学できますし、ホテルへの送迎もあり、何より日本語で申し込んで日本語のツアーに参加できるので、とても安心感があります。下記リンクよりご検索・ご予約ください。
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ベルトラ等の現地発オプショナルツアーのメリットとデメリットに関しましては、ブログ内の下記の別記事をご参照ください。
現地発オプショナルツアーの適度な活用について

周辺地図

(参考に)台湾の各種情報

■航空券
東京(羽田or成田)~台北まで直行便で約4時間。到着空港は成田からであれば台湾桃園国際空港に、羽田からであれば台北国際(松山)空港になります。東京(成田)~高雄までは直行便で約4時間半。航空運賃はいずれも4万円~6万円程度。航空会社はエバー航空が最も安く、他にキャセイパシフィック航空やチャイナエアラインやANAなど。札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡などからも直行便があります。GW休暇や盆休みなどの連休や、航空会社の時間帯によって航空運賃が十万円単位まで跳ね上がることもあるのでご注意。乗継便は、航空会社によっては1万円程度安くなることもありますが、10時間以上かかることが多いのであまりお勧めしません。
詳しくは、HISやエクスペディアで航空券の検索を。
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■ビザ
90日以内の観光目的で滞在の日本国民は、出国のための予約済みの航空券か乗船券を持っていればビザは不要。それ以上の滞在や留学などはビザが必要であるため、駐日台湾大使館などでご確認を。

■言語
公用語は中国語。英語の通用度は日本と同程度。観光客向けの中級以上のホテルやレストランなどであれば、むしろ日本語の方が良く通じることがあります。

■通貨
1台湾元が3~4円程度に相当。

■時差
日本よりマイナス1時間。

■宿泊施設
安価なホテルであれば3000台で泊まれるところもありますが、そこそこ設備の良いホテルだと4000円以上はかかります。ホテルの条件(Wi-Fi、冷蔵庫、エアコン、目的地へのアクセス等)をよくご確認ください。詳しくはエクスペディアで検索を。
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