旅行や出張で台湾に行かれた際の参考になればと思い、日本統治下の時代の台湾に関する歴史考察の記事を書かせて頂きます。

港湾都市として様々な産業が発展した日本統治下の高雄

日本が植民地支配を始めた当時、南は経済的に困窮した状態にあり、インフラ整備や衛生面の改善の効果は台北よりも台南や高雄のような南の都市の方が大きかったとされています。実際、植民地経営が軌道に乗ったことで、高雄では様々な産業が発展しました。

良質な石灰岩や大理石が発見された1915年以降は浅野セメント株式会社主導によりコンクリート製造業が発展し、1912年の高雄港の第一期増築工事の完工後は船舶の補修工場、製氷工場、冷凍庫などが林立して漁業の発展の土台が築かれました。また台湾製糖株式会社に出資した三井財閥の下で同じく鉄鋼業が発展するという具合に、日本統治時代は高雄の経済が大きく発展した時期でした。

日本統治下の植民地時代の台湾に築かれた経済発展の土台

むろん、高雄は国民党による開発独裁の時代以降にさらなる発展を遂げているので、日本の統治だけが高雄の経済発展の要因ではありません。力によって現地の人たちを差別・抑圧し、多くの人たちを投獄・処刑した植民地支配そのものを正当化することはできません。ですが植民地の時代に経済発展の大きな土台が築かれたことだけは確かであり、台湾総督府の人たち、さらには総督府の下で働いていた八田與一をはじめとする日本の技術者たちが、台湾や高雄に大きな足跡を残したことだけは確かだと言えます。

植民地経営の新たな課題に掲げられた電力不足や水不足

糖業や鉄鋼業のような工業にも、ライトアップされた美しい街並みにも、人々の最低限の生活にも、電力は絶対に欠かせません。高雄が港湾都市として発展し始めた1910年代以降、新たに立ち上がった問題が、発展に伴い増加する電力需要への対応、電力不足の解消でした。

そしてまた、大都市として発展する高雄や台南と、塩害や水不足に悩まされる稲作や米不足の改善、灌漑設備の普及、大都市と農村の貧富の格差の改善などが日本の植民地経営の直面する大きな問題として立ちはだかるようになりました。後に八田與一という総督府の技師が登場し、烏山頭ダムや嘉南大圳の建設によってそれらの問題を大きく改善するのは、1920年~1930年になります。

参考文献

オランダの植民地時代や鄭成功の時代、そして国民党の独裁体制下の時代と民主化に至る、台湾の400年の歴史について手っ取り早く知りたい方には、以下の中公新書を参考文献としてお勧めいたします。

台湾 四百年の歴史と展望 (中公新書)
伊藤潔
中央公論新社
2013-11-08



日本の統治時代以外の時代についてもコンパクトながらかなり詳しくまとめられており、台湾の歴史的な文化遺産の観光をされる際には、事前に是非読んで頂きたい1冊です。新書だと思って侮ってはいけません。

日本の植民地統治下に築かれ、現在も台湾で活用されている文化遺産については、以下の祥伝社新書をお勧めいたします。



こちらも台湾で日本の統治時代の文化遺産を観光される際の、事前の必読書と言えます。

台湾で最も尊敬されている日本人技術者、八田與一技師については、以下をお勧めいたします。



八田與一技師を知る上では必読書です。また、八田技師が赴任されるよりも前の台湾の歴史や文化、日本の植民地統治下で電力不足や水不足の解消が急務だったことなど、烏山頭ダムや嘉南大圳が必要とされた背景についてもかなり詳しく知ることができます。

歴史関連の台湾の旅行記としては、司馬遼太郎の台湾紀行がお勧めです。

街道をゆく 40 台湾紀行
司馬遼太郎
朝日新聞出版
2015-02-05



特定のテーマを重点的に学ぼうとすると物足りない印象を受けますが、台湾の歴史に対する司馬氏の深い知見には一読の価値があります。