旅行や出張で台湾に行かれた際の参考になればと思い、日本統治下の時代の台湾に関する歴史考察の記事を書かせて頂きます。

台湾製糖株式会社の設立

児玉と後藤の時代に、インフラ整備、衛生状況の改善、産業の振興、教育の充実など、台湾の近代化と発展につながる大きな土台が築かれ、発展の効果は、北部よりもむしろ南部の方が大きかったとされています。そして南部の大きな発展に結び付いた産業の中でも重視されたのが、オランダ統治時代からの輸出産業であった製糖業のさらなる育成でした。そして児玉と後藤のイニシアティブの下、三井財閥その他の財界有力者の資本により、台湾製糖株式会社が設立されました。

台湾総督府の民生殖産局長となった新渡戸稲造

日本の統治時代、糖業は台湾の主要産業でした。肥料や機械器具や灌漑水利への奨励金、砂糖の製造への補助金、台湾総督府の民生殖産局長に任命された新渡戸稲造の下での製糖技術の革新と糖業政策の確立などにより、台湾製糖株式会社主導で糖業は大きく発展し、日本の内地の砂糖消費を満たしただけでなく、海外にも砂糖を輸出できるようになりました。

戦後の国民党独裁政権下で衰退した糖業

日本の敗戦後、台湾製糖株式会社は他の製糖会社と同様に国民党政権に接収され、台湾糖業公司として引き継がれたものの、国民党独裁政権時代の砂糖キビ農民への収奪や農村と都市の経済格差の拡大、さらには近代の重工業やIT産業の勃興によって糖業は衰退してしまい、多くの製糖工場が廃墟となってしまいました。

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廃墟となった台湾製糖株式会社の工場(訪問時に撮影)

参考文献

オランダの植民地時代や鄭成功の時代、そして国民党の独裁体制下の時代と民主化に至る、台湾の400年の歴史について手っ取り早く知りたい方には、以下の中公新書を参考文献としてお勧めいたします。

台湾 四百年の歴史と展望 (中公新書)
伊藤潔
中央公論新社
2013-11-08



日本の統治時代以外の時代についてもコンパクトながらかなり詳しくまとめられており、台湾の歴史的な文化遺産の観光をされる際には、事前に是非読んで頂きたい1冊です。新書だと思って侮ってはいけません。

日本の植民地統治下に築かれ、現在も台湾で活用されている文化遺産については、以下の祥伝社新書をお勧めいたします。



こちらも台湾で日本の統治時代の文化遺産を観光される際の、事前の必読書と言えます。

台湾で最も尊敬されている日本人技術者、八田與一技師については、以下をお勧めいたします。



八田與一技師を知る上では必読書です。また、八田技師が赴任されるよりも前の台湾の歴史や文化、日本の植民地統治下で電力不足や水不足の解消が急務だったことなど、烏山頭ダムや嘉南大圳が必要とされた背景についてもかなり詳しく知ることができます。

歴史関連の台湾の旅行記としては、司馬遼太郎の台湾紀行がお勧めです。

街道をゆく 40 台湾紀行
司馬遼太郎
朝日新聞出版
2015-02-05



特定のテーマを重点的に学ぼうとすると物足りない印象を受けますが、台湾の歴史に対する司馬氏の深い知見には一読の価値があります。