旅行や出張で台湾に行かれた際の参考になればと思い、日本統治下の時代の台湾に関する歴史考察の記事を書かせて頂きます。

第3代目の民生長官・後藤新平が目指した「文装的武備」

第4代総督である児玉源太郎と第3代民生長官である後藤新平の時代(1898年~1906年)に、台湾で整備された近代的な建築物やインフラは、住民を威圧して秩序の回復と支配関係の確立を図る、「文装的武備」としての役割も兼ねており、その代表格が台湾総督府(現在の中華民国総統府)でした。台湾総督府は1912から起工され、完工したのは1919年、児玉や後藤よりも後の時代であるものの、後藤が確立した「文装的武備」の象徴の最たるものでした。そしてこの建物は1945年に日本が第二次世界大戦で敗北し、台湾を手放すまで、総督府として機能することになります。

戦後の国民党の独裁体制下で中華民国総統府となった台湾総督府

台湾総督府は第二次世界大戦では建物の崩壊こそ免れたものの、米軍の大空襲によって内部が全焼し、多くの人々が亡くなりました。その後、1945年の日本の敗戦によって総督府の機能は凍結され、総督府の財産は国民党により接収されます。そして国共内戦の敗北によって国民党が中国の大陸本土から台湾に逃げ延びてくると、台北は中華民国の臨時首都となり、この建物は中華民国総統府となりました。

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日本の植民地統治時代から活用され続けている現在の中華民国総統府(訪問時に撮影)

国民党独裁体制下でも都合良く温存された威圧的統治

国民党の時代、徹底的な反日政策によって日本人の銅像や日本の統治時代の文化遺産は次々に排除されましたが、日本による台湾統治の象徴であるはずの総統府は都合良く温存され、国民党の独裁政権によって台湾の人たちは威圧され続けることになりました。

参考文献

オランダの植民地時代や鄭成功の時代、そして国民党の独裁体制下の時代と民主化に至る、台湾の400年の歴史について手っ取り早く知りたい方には、以下の中公新書を参考文献としてお勧めいたします。

台湾 四百年の歴史と展望 (中公新書)
伊藤潔
中央公論新社
2013-11-08



日本の統治時代以外の時代についてもコンパクトながらかなり詳しくまとめられており、台湾の歴史的な文化遺産の観光をされる際には、事前に是非読んで頂きたい1冊です。新書だと思って侮ってはいけません。

日本の植民地統治下に築かれ、現在も台湾で活用されている文化遺産については、以下の祥伝社新書をお勧めいたします。



こちらも台湾で日本の統治時代の文化遺産を観光される際の、事前の必読書と言えます。

台湾で最も尊敬されている日本人技術者、八田與一技師については、以下をお勧めいたします。



八田與一技師を知る上では必読書です。また、八田技師が赴任されるよりも前の台湾の歴史や文化、日本の植民地統治下で電力不足や水不足の解消が急務だったことなど、烏山頭ダムや嘉南大圳が必要とされた背景についてもかなり詳しく知ることができます。

歴史関連の台湾の旅行記としては、司馬遼太郎の台湾紀行がお勧めです。

街道をゆく 40 台湾紀行
司馬遼太郎
朝日新聞出版
2015-02-05



特定のテーマを重点的に学ぼうとすると物足りない印象を受けますが、台湾の歴史に対する司馬氏の深い知見には一読の価値があります。