出張や旅行で台湾に行かれた際の参考になればと思い、台湾が日本に植民地として支配された時代の光と影について、歴史考察の記事を書かせて頂きます。

多くの犠牲者を台湾にもたらした日本の植民地統治時代

1895年4月17日に締結された日清講和条約、それに伴う台湾の日本への割譲は、台湾民主国の独立宣言と、台湾の住民たちの組織的な反発と抵抗を招き、住民は婦女子までが武器らしい武器もなく日本軍に挑み、日本軍に鎮圧されるまでの数か月で約1万4千人が犠牲になっています。

日本が台湾併合を宣言した同年11月18日以降も、ゲリラや先住民による抵抗が1915年まで続き、その20年間でさらに約3万5千人が犠牲になりました。また、武装蜂起がなくなった1915年以降は、自治権の拡大や台湾議会の設置を求める平和的な運動に対し、治安維持法を用いた弾圧がなされ、数多くの台湾人が政治犯として投獄されています。

一方で台湾の近代化や経済発展の土台も築いた日本統治時代

しかし一方で、かつての国民党政権のように、日本の統治時代を全否定するべきではありません。当時の国際情勢では植民地支配は当たり前のものであり、欧米列強によるアフリカの支配、オランダや清による台湾の統治は現地に発展をもたらさず、国民党政権の時代の独裁体制は、白色テロや2.28事件に見られるように、日本の統治時代どころでなく酷いものでした。

それらの事情を鑑みると、日本による台湾の統治は、後に台湾の近代化や経済成長につながる土台の多くを築いた点を踏まえれば、かなりましな方だったと言えます。少なくとも、日本の統治時代が全否定できないものであることは確かです。

日本と台湾の交流の原点となった日本統治時代

日本と台湾の交流の原点は日本が台湾を統治した時代にあるような気がします。犠牲や抑圧や差別といった負の側面はもちろんありますが、一方でインフラ整備や衛生面の改善といったプラスの側面もあり、今なお現地の人たちから深い敬愛を受けている八田與一のように、立派な日本人もいました。日本が支配者として一方的に上から目線で行ったものではなく、本当に台湾の人たちのために尽くした人たちの想いは、時代が変わって日本と台湾の関わり方は変わっても、ずっと変わらずに受け継がれていくのだと思います。

台湾が民主化されて再び戻ってきた日本と台湾の交流

日本の敗戦後、国民党の反日政策の一環として、日本人は財産をほぼ没収された後に強制送還され、日本の企業もまた国民党の国営企業として接収されました。大手メディアもことごとく台湾から撤退し、日本と台湾とは事実上国交が断交した状態になりましたが、台湾が民主化されてようやく、日本と台湾との交流が戻ってきました。

日本統治時代のプラス面も評価してくれる台湾の人々に感謝を

植民地という支配形態自体が他国を力づくで併合し、そこに住んでいる人たちに犠牲と流血をもたらすものであり、現在の価値観から言えば明らかに悪であることは間違いなく、無批判に肯定する気はありません。

しかしその時代のプラスの出来事はもっとプラスに評価されて良いと思いますし、当時の日本を全否定したり反日感情を持たずに、日本の統治時代にあった個々の出来事や側面をプラスに評価してくださっている多くの台湾の人たちに、もっと感謝と敬意を示さなくてはいけないような気がします。

参考文献

オランダの植民地時代や鄭成功の時代、そして国民党の独裁体制下の時代と民主化に至る、台湾の400年の歴史について手っ取り早く知りたい方には、以下の中公新書を参考文献としてお勧めいたします。

台湾 四百年の歴史と展望 (中公新書)
伊藤潔
中央公論新社
2013-11-08



日本の統治時代以外の時代についてもコンパクトながらかなり詳しくまとめられており、台湾の歴史的な文化遺産の観光をされる際には、事前に是非読んで頂きたい1冊です。新書だと思って侮ってはいけません。

日本の植民地統治下に築かれ、現在も台湾で活用されている文化遺産については、以下の祥伝社新書をお勧めいたします。



こちらも台湾で日本の統治時代の文化遺産を観光される際の、事前の必読書と言えます。

台湾で最も尊敬されている日本人技術者、八田與一技師については、以下をお勧めいたします。



八田與一技師を知る上では必読書です。また、八田技師が赴任されるよりも前の台湾の歴史や文化、日本の植民地統治下で電力不足や水不足の解消が急務だったことなど、烏山頭ダムや嘉南大圳が必要とされた背景についてもかなり詳しく知ることができます。

歴史関連の台湾の旅行記としては、司馬遼太郎の台湾紀行がお勧めです。

街道をゆく 40 台湾紀行
司馬遼太郎
朝日新聞出版
2015-02-05



特定のテーマを重点的に学ぼうとすると物足りない印象を受けますが、台湾の歴史に対する司馬氏の深い知見には一読の価値があります。