旅行先の国々で参考になればと思い、太平洋戦争の歴史考察に関する記事を書かせて頂こうと思います。まず今回は太平洋戦争の日本の敗因について。

敗因をアメリカや連合国のせいにするのは間違い

日本での昨今の風潮を見ていると、悪いのはアメリカや連合国、日本は一方的な被害者であるかのような偏った考えが目立ちます。確かに連合国側に加害者的な側面はありますが、最大の敗因は、長期戦の見通しのないまま日本軍が無謀な戦争を始めたことにあります。

自分たちに都合の良過ぎる3年目以降の「願望」

開戦前に太平洋戦争の計画を練ったのは主に企画院と大本営ですが、いずれも2年未満の短期戦の見通ししか持っておらず、当初から米英の本土を攻略する力もないことは自覚していました。また3年目以降の見通しとなると、「南方の拠点と資源を確保すれば、自給自足しながら敵を撃破できるだろう」、「ドイツが英本土に上陸すれば、英国は脱落し、仲間を失った米国も戦意を喪失するだろう」といった、自分たちに都合の良過ぎる考え方が随所に見られます。こんなものは「見通し」などではなく、相手への過小評価と根拠のない希望的観測から精一杯自分たちに都合よく考え出した「願望」にしか過ぎません。事実、この「見込み」は1942年6月の連合国側の反攻以降は尽く外れていくわけですが、日米開戦が1941年12月8日なので、企画院や参謀本部の見通しは実際には2年どころか半年程度しか通用しなかったことになります。

海上輸送に対する見通しの甘さ

陸海軍と逓信省の当時の計算結果によると、国力と最低限の国民生活を確保するためには常時でも最低300万トンの民需用輸送船舶が必要とされていました。広大な太平洋での戦争となれば、非常時として軍需用船舶が300万トン以上必要となるので、一方で民需用は300万トンの最低ラインを割ることになります。しかし陸海軍とも半年後には南方の進攻作戦は完了し、太平洋の占領下での新規の船舶製造が可能になれば徴用した船舶を民需側に返却できるので、国民が6か月だけ我慢すれば万事うまくいく、といったあまりにも楽観的過ぎる「見通し」でした。これもまた自分たちに都合の良過ぎる「願望」にしか持たず、しかも戦争中に輸送船が連合国側の攻撃で沈められたりして日々減っていく量、即ち輸送船の損耗量の見積や検討すらろくにされていませんでした。

敗戦と日本兵の死者の続出は日本の軍首脳部の大きな責任

戦場で亡くなった日本兵たちの犠牲は、軍首脳部の責任であることは間違いなく、米軍によっての被害という以上に、日本軍の首脳部によって多くの兵士たちが死ななくても済んだはずなのに死に追いやられたという側面が強いと言えます。

都合の悪いことを何でも他国のせいにするべきではない

輸送船の撃破と補給路の寸断による日本兵たちの飢餓と疾病の拡大や、日本への無差別空爆や原爆の投下など、もちろんアメリカと連合国側に戦争犯罪の加害者としての側面はありますが、だからと言って都合の悪いことは何でもアメリカや連合国のせいにするのはいかがなものでしょうか。親日的な国々の人たちとですら海外で無用な軋轢を生むことのないよう、自国の非は非として顧みる必要があると思います。

参考文献

今回の記事の内容(太平洋戦争の日本の敗因)について、さらに詳細に知りたい方には、下記の参考文献をお勧めいたします。


太平洋戦争〈上〉 (中公新書)
児島襄
中央公論新社
2014-07-11


太平洋戦争〈下〉 (中公新書)
児島襄
中央公論新社
2014-07-11