こんばんは。前回に引き続き北アイルランドのベルファストについて。今回は西ベルファストのプロテスタント地区のシャンキル通りについて書かせて頂きます。

恐怖心から過激テロに走った紛争当時のプロテスタント

自分たちが少数派に転落する恐怖心から、北アイルランドのイギリスからの分離とアイルランド共和国への統合を阻止するために、カトリック住民への無差別テロに走ったプロテスタント系テロ組織。UVFを始めとする過激テロ組織を生み出したプロテスタント系住民の居住区も、紛争が終結した今は平和だけは保たれています。

プロテスタントの政治目的を掲げる壁画が残るシャンキル通り

西ベルファストでプロテスタント地区として比較的栄えているのはシャンキル通りです。

カトリック地区とプロテスタント地区を結ぶ数少ない通りにある通行門(紛争当時はここに検問所がありましたが、今はもうありません)を抜けると、シャンキル通りへの案内と歓迎を掲げる壁画が最初に目に飛び込んできます。
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これだけであれば政治目的とは無縁な壁画であり、描いた人の絵画力の素晴らしさを堪能できる内容でもあります。

しかしそのすぐ傍から政治目的を掲げた壁画(絵画だけでなく、写真入りのものも多数あり)が始まり、なおかつ、掲げられている壁画もカトリック地区とはまるで正反対です。
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イギリスのかつての植民地総督を称える壁画だったり。

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イスラエルとの連携を呼びかける壁画もあります。こちらもアフガニスタンやパレスチナを支援する壁画が掲げられていたカトリック地区とは正反対です。

二階建てのフラットが立ち並ぶ住宅街は非常に閑散としていますが、住宅にも所々壁画が描かれています。
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イギリス軍を称える壁画。こちらも、カトリック地区にあった、カトリック系過激テロ組織であるIRAや(アイルランド共和軍)やアイルランド共和国を称える壁画とは内容が正反対です。

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別の住宅には、プロテスタント系過激テロ組織であるUVF(アルスター義勇軍)を称える落書きもあります。カトリック地区でIRAを称える壁画を見た時と同様、とても嫌な気分になります。

人通りが殆どなく、閑散とした住宅街を抜けて大通りに入ると、壁画の数が多くなります。大通りにある壁画の内容も、カトリック地区とはまるで正反対です。
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イギリスの歴代女王たちを写真入りで称える壁画だったり。

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100年に及ぶイギリスの統治を称え、「ホームルールに反対」(つまりアイルランド共和国への帰属に反対するということ)とはっきり書いた壁画だったりします。

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やはりUVFを称える壁画もあります。イギリスの王室を称えるのはともかく、さすがに過激テロ組織を称える類の壁画を見ると、やはり気分が悪くなります。

カトリックであれプロテスタントであれ、無差別テロに走る人たちは全く理解できませんし、まして共感など一切できません。

無数のイギリス国旗が掲げられたプロテスタント地区の住宅街

紛争当時は非武装地帯と検問所があった通行門から、大通りに至るまでは、二階建てフラットが多数立ち並んでいます。
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ここまでの光景は、カトリック地区とほぼ同じ。

ただしカトリック地区と決定的に違うのは、至る家々に掲げられた国旗がイギリスの国旗であることです。
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住宅街には教会もあり、教会にも同じようにイギリスの国旗が掲げられています。

狭い西ベルファストの街の中で、地区がカトリックとプロテスタントに分かれるだけでかくも違うのかと、正直愕然とします。

栄えている大通りにも無数のイギリス国旗が掲載

住宅街はカトリック地区同様、かなり閑散としていますが、大通りであるシャンキル通りに出ると、カトリック地区のフォールズ通りと同様に、そこそこ栄えているのが見て取れます。
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この大通りにもイギリス国旗が無数に掲げられています。国旗こそ違うものの、前回のカトリック地区と同様、パブも料理店も多数あり、それぞれそれなりに活気があって、中華料理店などもあります。

平和になった今も続くカトリック地区との分断と亀裂

紛争が終結して平和になったのは、カトリック地区もプロテスタント地区も同じです。もう無差別テロで理不尽な犠牲者が出ることはなく、武装した警察や軍の装甲車が街を走ることもありません。両地区ともそこそこ栄えており、生活水準が紛争時よりは確実に良くなっていることだけは間違いありません。かつての紛争地の平和な今を直に見ることができたこと自体はとても良かったと思います。

ただ、平和になった今でも、カトリックとプロテスタントが和解し共存しているようには到底見えず、残された無数の壁画や、掲げられる国旗の正反対さに象徴されるように、分断や亀裂は今なお続いているようです。平和とは何なのか、和解とか共存とは一体何なのか、考えれば考えるほど、正直よく分からなくなってくるのがこの西ベルファストという街でした。

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カテゴリ:北アイルランド > ベルファスト
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北アイルランド紛争に関する歴史考察
さらに、北アイルランド紛争に関する映画については、以下の記事をご参照ください。
カテゴリ:世界の映画 > 南北アイルランド

アクセス

メトロバスNo.11a, 11b, 11c, 11dでシャンキル通りにあるバス停Co-op, Agnes Streetなどで下車。カトリック地区のフォールズ通りからは、通行門を通り抜けて徒歩10~15分程度。

ベルファスト国際空港から市内には、エアポート・エクスプレスバスNo.300でヨーロッパ・バス・センターまで約35分。

ダブリンからベルファストには鉄道でコノリー駅から約2時間10分、エアコーチバスがオコンネル・ストリートから約2時間20分、バス・エーランがオコンネル・ストリートから約2時間25分になります。ダブリン国際空港からも両社のベルファスト行きのバスは出ています。バスの本数は1時間に1本程度あります。

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周辺地図

(参考に)北アイルランド(イギリス)の各種情報

■航空券
日本からの直行便はありません。東京(羽田or成田)からだとロンドン経由の便が主力で、乗継地までは約12時間、そこからベルファストまで2時間程度の移動となるため、乗継の待ち時間を含めて20時間程度かかります。

ドバイ経由の便もありますが、ドバイを経由した後にイギリスのマンチェスターなどを再度経由することになるため、2回の乗継の待ち時間も含めて30時間程度かかります。

航空会社はブリティッシュ・エアウェイズが主力で、ドバイを経由する場合はエミレーツ航空とイギリスのローカル航空会社の共同便になります。航空運賃は12万円~17万円が目安ですが、GW休暇や盆休みなどの連休や、航空会社の時間帯によって航空運賃が20万円近くまで跳ね上がることもあるのでご注意ください。

ドバイやドーハなどを経由して、ダブリンへの往復便を利用し、ダブリンからベルファストへは電車での往復をするようにすれば、トータルの料金を10万円以下に抑えることも可能です。

詳しくは、HISやエクスペディアで航空券の検索を。
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■ビザ
6か月以内の滞在であればビザは不要。ただし空路で入国した場合には、入国時に往復航空券を提示することが必要となります。ダブリンからバスや鉄道で北アイルランド入りした場合は、税関や入国審査は特にありません。6か月以上の滞在や留学などはビザが必要であるため、駐日英国大使館などでご確認を。

■言語
英語

■通貨
通貨単位はアイルランドポンド(IEP)。1€が約165円程度に相当。ダブリンからバスや鉄道で北アイルランドされる場合、アイルランドで使用されていたユーロは使えなくなるのでご注意ください。空港や鉄道駅、銀行などの両替で、ユーロをアイルランドポンドに両替するようにしてください。

■時差
日本よりマイナス9時間(サマータイム実施中は日本よりマイナス8時間になります)。

■宿泊施設
安価なホテルやゲストハウス、ドミトリーなどであれば3000~4000円/泊程度でも泊まれますが、そこそこ設備の良いホテルだと7000円/泊以上かかります。

ホテルの条件(Wi-Fi、冷蔵庫、エアコン、目的地へのアクセス等)をよくご確認ください。特に、北アイルランドでは夏でも肌寒く、最高気温でも15~16度にしかならないので、暖房の有無をご確認ください。夏季や冬季の長期休暇が近づくほど宿泊費が高くなるため、早めに予約するようにしてください。詳しくはエクスペディアやBooking.com、トリップアドバイザー等で検索を。
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