おはようございます。今回はアイルランド・ダブリンにある、キルメイナム刑務所(現在は観光地)についての記事を書かせて頂きます。

数多くの独立運動家たちを投獄したキルメイナム刑務所

キルメイナム刑務所が建設されたのは1795年。当時はアメリカ合衆国の独立やフランス革命の影響で、アイルランドでも民族意識が高まり始めた時代。それからアイルランドが自由国として不完全ながらも独立した1922年まで、この刑務所は独立運動に関わった数多くのアイルランド人を投獄する場となりました。
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バス通り沿いにある、刑務所および隣接する博物館への入口です。

刑務所はガイドツアー形式でしか見学できません。ガイドツアーが始まり、入口に入って最初に目にする、刑務所最大の建物がこちら。
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一方こちらは、上の写真の建物のすぐ横にある建物。2棟とも、いかにも刑務所といったやや威圧感のある建物です。当然ですが、エレベーターは観光地になってから新たに付け加えられました。

投獄された多数の男女が獄中結婚した聖堂で受ける歴史の説明

刑務所内に入る前に、聖堂でガイドさんから一通りキルメイナム刑務所の歴史に関する説明を受けます。
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投獄されたのが独立運動に関わった人々だけでなく、ジャガイモ大飢饉が生じた19世紀には飢餓でホームレスになった子供や妊婦、赤ん坊までも、秩序を乱す存在として手当たり次第に投獄していたと言います。そして刑務所内では治療も何もなく、ただ餓死するに任せるだけだったとか。当時のイギリス植民地政府の無策さは本当に酷いものです。

とは言え、この刑務所のメインの役割は独立運動を抑え込むことです。ガイドさんから説明を受けたこの聖堂は、独立運動に加担して投獄された多くの男女が獄中結婚する礼拝堂だったとか。当時の社会状況下でそんな風に結婚して、果たしてどこまで希望を持っていられたのでしょうか。

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こちらの写真は、この刑務所で処刑される2時間前に獄中結婚したジョゼフ・プランケット夫妻です。祖国の未来を案じて独立闘争に身を投じた多くの人々が、この若い夫妻のようにこの刑務所で処刑されました。

古い時代の建物ほど劣悪な設備環境

さて、ガイドさんの説明を受けて、いよいよ刑務所の中に入ります。
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この建物は刑務所の設立当初の一番古い時代のもので、それだけに極めて劣悪な環境です。廊下を歩くだけで当時の劣悪な設備環境が伝わってきます。

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古い時代の独房内もまた実に劣悪なものです。

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同じ建物の上の階もまた劣悪です。

近代の建物内にある独立運動家たちの収容エリア

一方、比較的近代に建てられた建物の雰囲気は、先の古い建物に比べるとかなりましな雰囲気にはなっています。衛生状態もかなり改善されたように見えます。
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先のジョゼフ・プランケット夫妻をはじめ、パトリック・ピアース、ジェームズ・コノリー、エイモン・デヴァレラ等、イースター蜂起の中心人物たちもこのエリアに収容されました。

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このエリア内は階段の使用が禁止されているので、上の階には行けませんでしたが、独房の扉の上に貼られた名札から、エイモン・デヴァレラの収容房が2階にあることが確認できました。

デヴァレラは内戦終結後に共和国の大統領となる人物で、イースター蜂起の中心人物としては、2度も投獄されながら処刑されずに生き延びた数少ない人物です。3度目には大統領として、閉鎖された刑務所を重要文化財として観光地にすることを宣言するために訪れました。生き残ったとはいえ、彼もまた数奇な人生を辿っています。

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独房内の雰囲気も先の古い建物のそれに比べると大分ましな気がします。それでも肉体的・精神的な苦痛を与える場所には違いありませんが。

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懲罰用の地下牢もありますが、立入が禁止されているので見れません。

高い壁に囲まれた囚人たちの運動場

再び古い時代の劣悪な建物内を通り、刑務所内の屋外エリアに出ると、囚人たちの運動場があります。
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建物と高い壁に囲まれた刑務所であるのが運動場の光景から見て取れますが、人数は少ないながらも、脱獄に成功した人もいるようです。

イースター蜂起の中心人物たちの処刑場

そして扉をくぐった運動場のすぐ横に、イースター蜂起の中心人物たちが処刑されたエリアがあります。
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彼らが処刑された位置に十字架が建てられています。

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そしてエリア内には、アイルランド共和国の国旗と、花束が手向けられています。

植民地支配がアイルランドにもたらした最大の負の文化遺産

独立運動の記念碑的存在とは言いますが、このキルメイナム刑務所は紛れもなく、独立運動に身を投じる人々の根絶を図った場所です。ですから刑務所と名付けられてはいますが、植民地支配下で無数の犠牲者がもたらされたこの刑務所は、政治犯収容所といった方が正確であり、アイルランドにとっての最大の負の文化遺産と言えます。

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カテゴリ:アイルランド > ダブリン
また、旅行記ではありませんが、アイルランド共和国に関する映画については、以下の記事をご参照ください。
カテゴリ:世界の映画 > 南北アイルランド

入場料

一般7ユーロ、学生3ユーロ。ガイドツアーでのみ見学が可能。
この刑務所はかなり人気の高い観光スポットで、当日入場券を購入しようとすると定員オーバーで参加できないこともあるので、数日前までにキルメイナム刑務所のホームページでツアーの時間帯を調べて、入場券を予約しておくことをお勧めします。

開園時間

4~9月までは、9時半~18時。
10~3月までは、9時半~17時半(日曜は10時~18時)。
最終入場は閉館の1時間前。
12/24~26は休館。

アクセス

ダブリンバスNo.69もしくはNo.79aバスのバス停Kilmainham Jailから徒歩1分。詳しくは、ダブリンバスの時刻と路線をご参照ください。

ダブリン空港から市内には、バスでオコンネル・ストリート(O’Connnel Street)まで約30~45分。バスはダブリンバスNo.16で3.3ユーロ、エアリンクNo.747で6ユーロ(往復10ユーロ)、エアコーチNo.700で7ユーロ(往復12ユーロ)になります。詳しくはバスの時刻と路線をご参照ください。

周辺地図

(参考に)アイルランドの各種情報

■航空券
日本からの直行便はありません。東京(羽田or成田)からだとドバイ、アブダビ、ドーハ、イスタンブール、ロンドン、アムステルダム等の経由便があり、乗継地までは約12時間、そこからダブリンまで3~7時間程度の移動となるため、乗継の待ち時間を含めて20時間以上かかります。

航空会社はエティハド航空、エミレーツ航空、カタール航空、ターキッシュエアラインズなど。航空運賃は8万円~16万円が目安ですが、GW休暇や盆休みなどの連休や、航空会社の時間帯によって航空運賃が20万円近くまで跳ね上がることもあるのでご注意ください。
詳しくは、HISやエクスペディアで航空券の検索を。
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■ビザ
6か月以内の滞在であればビザは不要。ただしパスポートの有効期限が、観光の場合は3か月以上、修学の場合は6か月以上残っていることが必要となります。それ以上の滞在や留学などはビザが必要であるため、駐日アイルランド大使館などでご確認を。

■言語
英語

■通貨
通貨単位はユーロ(€)。1€が約132円程度に相当。

■時差
日本よりマイナス9時間(サマータイム実施中は日本よりマイナス8時間になります)。

■宿泊施設
安価なホテルやゲストハウス、ドミトリーなどであれば4000~5000円/泊程度でも泊まれますが、そこそこ設備の良いホテルだと8000円/泊以上かかります。

ホテルの条件(Wi-Fi、冷蔵庫、エアコン、目的地へのアクセス等)をよくご確認ください。特に、アイルランドでは夏でも肌寒く、最高気温でも17~18度にしかならないので、暖房の有無をご確認ください。夏季や冬季の長期休暇が近づくほど宿泊費が高くなるため、早めに予約するようにしてください。詳しくはエクスペディアやBooking.com、トリップアドバイザー等で検索を。
リアルタイム空室確認が分かりやすい!エクスペディアの海外ホテル
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